ガールズ・ラブ&心霊学園ホラー『天使の街』は鋭意制作中(追記:2014年5月にリリースしました)。著者の夜見野レイとして、定期的に「創作メモ」のような記事を書いていきたいと思います。
さて、職業作家ではなく、プライベートの時間を確保できない“ワーキングプア”が小説を書こうとする場合、執筆時間の確保は大きな課題となります。
この記事はぎゃふん工房の作品レビューから移植したものです。
通勤時間に書いたらいいじゃないのさ
セルフ・パブリッシングの第一人者、『Gene Mapper』の藤井太洋さんは、通勤時間にiPhoneを使って執筆されたことが知られています。
しかし、私にはとてもそんな真似はできません。
そもそも私はiPhone(スマートフォン)を持っていません(追記:2013年秋にiPhoneデビューしました)。iPad miniは最近購入したので、それを代用することもできますが、とてもそんな気力はない。
スマートフォンにしろ、タブレットにしろ、端末の操作に習熟していないと、執筆にもストレスがかかりそうです。
やはり熱意や気合いの入り方が違うのですかねえ。
朝と夜に書いたらいいじゃないのさ
スマートフォンやタブレットに難がありそうなら、パソコンのキーボードで書くという基本に立ち戻ればいい。つまり、出勤前、帰宅後に小説を書く時間を作ればいい。
じつは、小説ではなく、ブログの更新をその方法でやろうと試みました。『ブログの書き方』みたいな本にも、そんなノウハウが書かれていますし。
でも、これもダメでした。
やはり「文章をひねり出す」という行為は、予想以上に脳に負担がかかるようで、とてつもなく疲労します。
そもそも「時間がない」のは本業のほうが忙しいから。そんな時期は心身ともに疲弊しているわけで、本調子でない状態で出勤するようでは、本末転倒ともいえます。
ま、これも言い訳にすぎず、気合いが足らないだけという気もしますけど……。
週1回2時間の執筆タイムを確保する
といったわけで、現在、私が実践しているのは「毎週土曜日の午前中2時間だけ小説を執筆する」というものです。
この方法のヒントになったのは、下記の記事です(自分の書いたやつだけど)。
押井守は、絵コンテを「一日に必ず十枚は描く。そして、絶対に十枚までしか描かない」と決めているという。どんなにノッても、いくらでも描けそうなときも十枚で止める。押井は師匠(鳥海永行)のこの教えを徹底して守ってきたそうだ。
(『これが僕の回答である。』インフォバーンより)
土曜日の午前中以外の時間は原則書かない。その代わり、どんなことがあっても、週2時間は必ずキーボードに向かう。そのルールを自分に課すわけです。
哀しいかな、土曜日出勤の場合も多々あります。そのときは、日曜日の午前中を使っています。
2時間でどのくらい書けるかというと、文庫本のページ(39字×17行)で、約18〜20ページです。週に約20ページ、月に約100ページですから、3か月もあれば、文庫本1冊ぐらいの分量になるわけです。
ただ、2時間で20ページというのは、少なくないペースかもしれません。私は出版業界の底辺にいるとはいえ、曲がりなりにもプロのライターですから、ふつうの人よりは文章を書き慣れているといえるでしょう。
しかし、じつはこの執筆スピードが実現できるのは、何を書くべきかわかっているからです。
逆に、「ここどうしようか?」と少しでも悩んだら、筆は止まってしまいます。
『天使の街」の制作にあたり、半年ほどかけて、物語の最初から最後までのプロット(私はストラクチャーと呼んでいますが)を練りました。
執筆するのは土曜日の午前中のみですが、「考える時間」は平日にもとっています(それこそ通勤時間は都合がいい)。細かい段取りなどは、平日にも考えているわけです。
そうやって平日に物語を十分に煮詰めておき、土曜日に一気に放出することで、2時間で20ページという成果が実現できるのです。
じゃあ『天使の街』はもう完成したの?
さて、『天使の街』は昨年の秋ごろから執筆を開始しました。そろそろ半年が経過しそうなところです。でも、未だ完成をみていません。
先に「3か月もあれば」でき上がると豪語したのはなんだったのでしょう?
現在、物語のボリュームは400ページを突破。ようは、予想以上の長編になってしまっているのです。
もちろん、この長さでいいかどうかわかりません。電子小説としては長すぎる観もあります。
とにかく最後まで書き切ったところで、どこかをカットするのか、それとも大長編のままでいくのかを判断したいと思います。
今はとにかく階段を一歩一歩上っていくしかないのです。
【追記】2014年5月に無事にリリースの運びとなりました。
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