ガールズ・ラブ&心霊学園ホラー『天使の街』の“制作秘話”をつづっていくシリーズの第2弾です。
この作品のイメージイラストは私が描いたものではありません。私の本職はライター兼編集者なので、もちろんイラストレーターさんの知り合いはいますが、ふだんお願いしているのはこのような“萌え”イラストではありません。
ですが、この作品には“萌え”イラストが必要でした。電子書籍の表紙画像そのものを作品のプロモーション材料にしてしまおう、という狙いです。
今回は、そんな私がとった方法をご紹介します。
この記事はぎゃふん工房の作品レビューから移植したものです。
イラストレーターのマッチングサイトに登録・発注
イラストの発注にあたり下記のサイトを利用しました。
チラシデザイン・イラストを誰でも手軽に発注 | ファーストデザイン
[2024年1月10日追記]「ファーストデザイン」は「Skillots(スキロッツ)」というサービス名に変わっています。
ここに会員登録(無料)し、『天使の街』のイメージにふさわしいイラストレーターを探しました。
その結果、今回はミナセさんにお願いすることになったわけです。
ファーストデザイン:イラストレーターの実績ページ
[注]上記のミナセさんの実績ページに、この『天使の街』が掲載されています。料金も記載されていますが、これは当初のこちらからの提案であり、実際にお願いしたものと少し異なります。また、ミナセさんは現在、受注を停止されています。[2024年1月10日追記]ページは削除されています。
イラストの制作プロセス
それでは、『天使の街』のメインビジュアルがどのように制作されたのか紹介していきましょう。
まずは、下のように、こちらからイラストのイメージを提示しました。
上のイメージを元にミナセさんがラフを作成(上記の4つの案からお好みのものを選んでいただきました)。
3つのラフ案から、[2]を選択。
ただ、なんとなく「よくあるイラスト」という感じは否めません。とくに電子書籍の場合、表紙画像は(紙の本よりは)小さく表示されます。だから、インパクトがほしい。また、右側にいるマヒルは〈テンシ〉という異形のものになっている。そんな意味合いをイラストに反映させたい。
ということで、下のように改良を加えてもらいました。
[2-A]は「マヒル(右)が宙を舞いながらハルカ(左)に迫る」というイメージ。[2-B]は「マヒルは宙を浮いていて、天井からハルカを襲う」というものです。
選んだのは[2-B]。「見た目のインパクト」が決定打となりました。
そのうえで、下のような細かい修正をお願いしました。
●ふたりの顔の距離をもっと近くに。(頬と頬がくっついてもいいかもしれません)
●マヒルの右手は、現状、手のひらの一部分がハルカの頭に触れている感じですが、 これを手のひら全体が触れているように。([2]や[2-A]と同程度に)
●マヒルの左手は、ハルカの顔を触っているように。(頬をなでるか、[2]や[2-A]のように指先が触れているように)
●マヒルの髪にもう少し動きがあるとよいと思います。(上から[マヒルから見ると自分の下から]風が吹いてきて、現状よりもう少しだけふわっとしている感じ)同様に、マヒルの衣装も(表現として可能であれば)少し風を含んでふっくらしている感じにしていただければと思います。
●ハルカの右手は、現状、マヒルの手に添えられているだけですが、これをマヒルの手のひらに完全に重ねるか、握らせてしまってください。
●ハルカの左手は、現状、描かれていませんが、マヒルのどこか(髪など)に触れているようにしてください。
要するに、もう少し「ラブ」がほしいという非常にやっかいな要望です。これを受けてさらに手を加えていただきました。
上記の注文を忠実に再現していただきました。けれども、なんかしっくりこない。その理由はハルカ(左)にとって、マヒル(右)は大好きなセンパイであるはずなのに、だからうれしいはずなのに、どこかよそよそしい感じがするためでしょう。たとえば、ハルカがうっとりとした表情であれば、ぴったりハマったと思います。
ですが、本作は「ホラー」なのです。だから「あくまで表情はシリアスに」という点は死守してもらいました(まあ、先輩にいきなり天井から抱きしめられたら「うっとりしている」暇はないでしょうが)。
最終的に、このイラストで落ち着きました。このあと仕上げに入っていただきました。
イメージイラストは、背景が「赤」(左)と「青」(右)のものが存在します。当初の注文では「青」でしたが、「ホラーっぽくない」というミナセさんの判断で、「赤」も描いていただきました。
今のところオフィシャルのイラストは右の「青」バージョンですが、左の「赤」も悪くない気がするので、どこかで使うかも。
ちなみに、このメインイラストの前に、各キャラクターのデザインをお願いしているのですが、それについては別の機会にご紹介します。
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