マヨ先生は、私立麗宝学園高等部・国語科の教師です。
見てのとおり、マヨ先生は美人です。「かわいい」というより「キレイ」なタイプ。
こういう見てくれの人は、性格が高ビー(高飛車)と相場が決まっておるのですが(偏見)、マヨ先生はそんなことはありません。
東京の下町育ちということもあって、サバサバした性格で、見た目の印象とはだいぶ異なります。だから、「どうせお高くとまってるんでしょ?」なんて思って接すると、「あれ?」ってなります。
見た目どおりの性格であれば、生徒たちからは総スカンかもしれませんが、もちろん、マヨ先生に対する生徒たちの好感度は高い。
年齢は24歳。教師暦は2年目ですから、生徒たちから見ると、先生というより「頼れるお姉さん」という感じなのでしょう(よくわからんけど)。
マヨ先生に関わった人たちは、みんな口をそろえて「愛があふれている人」と言います。「愛とは何か?」なんて、私にはわかりません。わからないなりに言い換えると、「包容力がある」「自分に厳しく他人に優しい」ということなのかもしれません。
何か問題起こっても、マヨ先生は決してあわてません。冷静にものごとに対処していきます。楽天家ということもできますし、ちょっと間が抜けている、なんて言いかたもできるかもしれませんね。
『天使の街〜マヨ〜』には、女子大生のマヨさんも登場します。「教師としての責任」を背負っていないせいか、女子大生のマヨは、とても能天気です。
『天使の街』は、言ってみれば“幽霊退治”のお話です。マヨは、行きがかり上、ゴースト・バスターズみたいな組織に所属することになります。
義務感から幽霊と戦っているのではなく、単に「好きな人と一緒にいたいから」という理由で参加しています。じつに動機が不純。そんなことでいいのでしょうか?
だからバチが当たった──というわけでもないのですが、作者によって、マヨには過酷な運命が用意されているのでした。
ヤヨイさんに聞いてみよう
──マヨはどんな先生ですか?
ヤヨイ どんな先生ねぇ……いいんですか? ネタバレになりますよ?
──いや、ネタバレはマズイな……じゃあ、最初に会ったときの印象を教えてください。
ヤヨイ 最初に会ったとき……あれは、そうだ、マヨ先生が新任教師として初めてこの学校に来て、ウチが校内を案内してあげたんだっけ。そしたら、くっ、くくくく。
──ちょっと! 思い出し笑いは自重して。
ヤヨイ マヨ先生がさ、ウチのこと「ヤヨイさん」って、「さん」づけで呼ぶからさ、ははははは!
「よし。これでひととおり案内するところは案内したかな」
「ありがとう、ヤヨイさん」
「あ。そこはヤヨイで。『さん』づけする先生なんて、この学校にいないよ」
「あ……ありがとう……ヤ…ヤヨイ……」
「ぎゃはははは。マヨ先生、緊張してる! きゃはははは」
ヤヨイが顔をクシャクシャにして笑っている。 私は自分が赤面しているのを感じた。
そうだよ。私は教師なんだから、生徒を呼び捨てにしていいんだよ。本人がそうしろって言っているわけだし。
ヤヨイ まあ、とにかく、最初はビビったよね。あんだけの、アレだもん。
──アレ?
ヤヨイ めっちゃ美人ってこと。だからさ、ウチらも、ちょっと身構えちゃって。でも、実際は、美貌を鼻にかけたりしなくて、けっこう気さくで、教え方も熱心だしさ、ウチは好きだよ。
──あ、ありがとうございました。
ヤヨイ ねえ、ウチの紹介のときも、誰かに話を聞くんでしょ?
──そうだね。誰に聞くのがいいかな?
ヤヨイ 一番いいのは、マヒルだけど……あいつに聞くのは無理だよね?
──うん。そうだね無理だね……
ヤヨイ ……。
──元気出して、ヤヨイさん。
ヤヨイ いや、落ち込んでいるわけじゃないよ。だって、あいつは今しあわせだってことはわかってるわけだし、実際に会えなくても……。
──おっと、ネタバレはそこまでだ。